藤井正雄総監修『うちのお寺は浄土真宗』双葉社、1997年(1500円+税)
浄土真宗についてひととおりのことが知りたい、とお思いの方におススメの本です。タイトルどおり、専門家向けの本ではなく、どなたにも御覧いただけるもので、写真・絵・マンガも盛り込んで、手に取りやすい真宗入門の本となっています。とはいえ、内容そのものはしっかりしたものに感じられました。目次は次のようになっています。
第1章ここを見ればすべてわかる「浄土真宗早わかり」
第2章開祖はこんな人「親鸞聖人」
第3章経典・著書にみる教義「浄土真宗の教え」
第4章知っているつもりの知らない「浄土真宗の念仏者たち」
第5章ぜひ訪ねたい「浄土真宗ゆかりのお寺」
第6章知っておきたい「浄土真宗の仏事作法・行事」
浄土真宗の歴史・教えのみならず、仏事作法にいたるまでが網羅されており、実用書としても有用なものとなっています。
以下、第3章の中の「本願他力」の項と、第6章の中の「浄土真宗の葬儀・法要の意味」の項の一部分を、少し紹介させていただきます。
本願他力 他力というと「他人まかせ」という意味で誤解されがちだが、そうではない。他力とは阿弥陀仏の本願力のことをいう。…このように、衆生に「南無阿弥陀仏」という名号を与えて救う阿弥陀仏の本願のはたらきを、他力というのである。
しばしば、他人まかせで何もしないという意味で「他力本願」と誤用されることがあるが、本当は、むしろ、阿弥陀仏のほうより智慧と慈悲を恵まれることによって、力強く、明るく、精一杯生き抜く人生が開かれてくるのである。(pp.70-71より)
浄土真宗の葬儀・法要の意味 仏事というと、死者の冥福を祈り、仏を供養し、僧侶に施しをすることであると考えられてきた。…しかし、浄土真宗では年回法要(年忌法要)は故人をしのぶとともに、自らも仏法を聴聞し、仏恩に感謝する行事として行われるものである。…
葬儀も、亡き人に永遠の別れを告げるための儀礼ではなく、阿弥陀如来の願力によってふたたび浄土で会えるという思いを確かめあう法会である。
葬儀には昔からさまざまな迷信があり、現在にもそのまま伝えられているものがある。
たとえば日の吉凶、守り刀、逆さ屏風、魔除け、死装束、六文銭、塩をまくなどである。浄土真宗ではこうした迷信は一切必要ない。(p.202より)
(2001/04/21)
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