お釈迦さまの足あと(ブッダの生涯)
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ファジルナガルの田舎道 |
0.はじめに
■仏教の根っことしてのお釈迦さま(ゴータマ・ブッダ)
仏教は、二千四、五百年の長い歴史のなかでさまざまな民族を介して広い地域に拡がり、さまざまな流れを生み出しつつ発展し、受け継がれてきました。しかし、その根本をたどればお釈迦さまに帰着します。仏教の雄大な流れはお釈迦さま(釈迦牟尼仏しゃかむにぶつ、釈迦如来しゃかにょらい、釈尊しゃくそん、あるいは、近頃はゴータマ・ブッダという言い方もします)という一個の歴史上の人物に始まるのです。
お釈迦さまはどのような人だったのか、何に苦悩され、何を明らかにされたのか。こういったことを知ることが、仏教という宗教の根っこを知ることにつながるのです。
■お釈迦さまの生涯とインド仏教遺跡
しかしお釈迦さまが本当に歴史上に生きておられたのであるなら、いったい、どんな顔で、どんな名前で、どこにどのように住んでおられたのでしょうか。
残念ながらお釈迦さまは二千数百年も前に生きていた人ですから、その顔がどのようなものだったのかは知ることができません。しかしお釈迦さまの死後にまとめられた仏典(経典と戒律)にお釈迦さまの名前や生涯が記されており、またインドにはお釈迦さまにゆかりのある遺跡がいまなお残されています。私たちはこれらの原始仏典や仏教遺跡や遺跡からの出土品などから、お釈迦さまという一人の人間の生涯をある程度たどることができるのです。これより、インド仏教遺跡のいくつかを巡りながら、お釈迦さまの生涯をかいま見てみることにしましょう。
お釈迦さまの生涯について、ここではつぎの六つのトピックにわけ、あわせてそれぞれにゆかりの地名を記すことにします。
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誕生: ルンビニー
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成長と出家(29才): カピラヴァストゥ(候補地現在名ピプラーワー)
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さとり(35、6才): ブッダガヤー(ブッダガヤともいう、現在地名ボードゥガヤー)
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初めての説法(初転法輪): サールナート(ただしサールナートは現在地名、漢訳でいう鹿野苑)
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伝道: シュラーヴァスティー(舎衛城、現在地名サヘート・マヘート)
ラージャグリハ(王舎城、現在地名ラージギル)
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入滅(80才): クシーナガル(ただしクシーナガルは現在地名、サンスクリット語ではクシナガリー/クシーナガリー/クリナガラと記される)
・生育の地カピラヴァストゥについては、ピプラーワーの他に、ネパール領土内に位置するティラウラ・コートが別の有力候補地として考えられています。
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インド仏跡地図:地名をクリックすると該当ページに
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これらのうち、特にルンビニー、ブッダガヤー、サールナート、クシーナガルの四つを四大仏跡といい、仏教徒にとって最も大切な聖地として世界各国から多くの巡礼を集め、にぎわっています。お釈迦さまの生涯にとっても、仏教にとっても重要な事件が起こった土地だからです。
→学問的検証に裏付けられたお釈迦さまの生涯に関する研究としては、中村元『ゴータマ・ブッダI・II』(中村元選集[決定版]第11,12巻)、春秋社、1992年刊が詳細です。ここでも、仏典から文章を引用する際には、同書の中村元先生による和訳を使わせていただきました。また、一般向けの概説書は数多く出版されていますが、最近のものとしては、前田専学『ブッダを語る』(NHKライブラリー26)、NHK出版、1996年刊があります。さらに、お釈迦さまの生涯から縁起・空といった仏教の中心思想をまとめた本として、長尾雅人『仏教の源流−インド』、中公文庫、2001刊(もとは、1984年に大阪書籍より同名の書として刊行)があります。
なお、インド仏教遺跡地図の作成にあたっては、「白い地図工房」に提供されるフリーの白地図を利用させていただきました。
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